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HOME MEAL MEISTER 02農畜水産物の生産と流通


21-家畜の伝染病、BSE・鳥インフルエンザ

多くの感染症は「種特異的」で、ある動物に感染し疾病を引き起こす細菌やウイルスでも、他の動物には感染しない。動物種間にある感染の困難さを「種の壁」と呼ぶが、時にはこの壁を乗り越えることがある。例えば、鳥インフルエンザウイルスH5N1型は、ヒトにも感染を引き起こすことがある。2009年に世界的に流行した新型インフルエンザH1N1型は、豚のインフルエンザがヒトに感染し、さらにヒトからヒトへと感染する能力を身につけたものであると考えられている。ヒトと動物の両方に感染する感染症を「人獣共通感染症」あるいは「人畜共通感染症」という(表1)。

(1)BSE

牛海綿状脳症(BSE)は、牛の脳に空洞ができ、スポンジ状になる疾病である。感染した牛は、異常な行動を示すようになり、運動機能が冒され、最終的には死に至る。原因は異常化した「プリオン」である。プリオンは牛の脳などに存在しているたんぱく質であり、異常プリオンが体内に入ると、正常プリオンが異常プリオンに変化させられ、異常プリオンの量が徐々に増加し、これが原因で発病すると考えられている。プリオンが原因となる疾病は、ヒツジのスクレイピーやヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病などが知られている。感染した牛の肉などを食べてヒトが感染する確率は非常に低いと考えられているが、感染確率がゼロではなく、感染した場合の治療法は存在せず、かつ死に至るので世界的に大きな問題となっている。

(2)インフルエンザ

新型インフルエンザは2009年に世界的な流行(パンデミック)を起こしている。このインフルエンザはA型インフルエンザウイルスのH1N1型が病原体である。もとは豚のインフルエンザであったが、豚からヒトに感染するようになり、さらにヒトからヒトへと感染が広がったと考えられる。2009年4月にメキシコで流行が確認され、世界へと広がっていった。新型のインフルエンザに対する免疫を持っているヒトはいないので、一度流行が始まると爆発的に拡大し、医療に関わる人、ワクチンや治療薬が不足する可能性がある。毎年流行する季節性のインフルエンザであっても毎年相当数の死者が出ている。

2009年に流行した新型インフルエンザは弱毒性のものであったが、鳥インフルエンザH5N1型のような強毒性のインフルエンザがヒトに大流行する事態が生じた場合には極めて深刻な被害が起こると考えられる。

(3) 狂犬病

狂犬病は、狂犬病ウイルスの感染による致死率の高い中枢神経系の感染症である。狂犬病ウイルスは感染したイヌ、ネコ、オオカミ、コヨーテ、コウモリなどの唾液中に排泄され、咬まれた時に感染する。現在、狂犬病がないのは日本、イギリス、スカンジナヴィア半島、オーストラリア、ニュージーランドだけである。発症した場合の死亡率(致死率)はほぼ100%であり、確立した治療法はないが、感染前のワクチン接種は有効である。現在日本において狂犬病は発生していないが、感染している動物がペットとして輸入される可能性は否定できない。日本はペットの輸入大国であり、密輸入やモラルの低下などから、狂犬病の再侵入の可能性が指摘されている。

(4)炭疽病(たんそびょう)

炭疽病は、通常、炭疽菌(Bacillus anthracis)の付着した草を食べた家畜が感染し、敗血症となり死亡するが、出血のため死体は黒くみえる。ヒトには動物を介して感染するが、ヒトからヒトへは感染しない。皮膚の小さな傷から感染する皮膚炭疽、炭疽菌の吸入により起こる肺炭疽、まれに汚染食品を食べて起こる腸炭疽がある。いずれも敗血症を起こしやすく、致死率も高い。

2001年アメリカにおいて、炭疽菌の粉末入りの郵便物が送付される「生物テロ」が発生し、最終的に皮膚炭疽12名、肺炭疽11名の被害者を出した。

表1 主な人獣共通感染症

病原体の種類
病名
ウイルス 狂犬病、日本脳炎、インフルエンザ、ウエストナイル熱
リケッチャ・クラミジア Q熱、オウム病
細菌 炭疽病、ペスト、ブルセラ症、破傷風
真菌 クリプトコックス症
原虫 クリプトスポリジウム症、トキソプラズマ症
寄生虫 アニサキス症、エキノコックス症
プリオン 牛海綿状脳症(BSE)

動物だけに感染する「家畜伝染病」については、口蹄疫(こうていえき)、豚コレラなどの名前を聞いたことがあるだろう。感染症に罹患した家畜は、速やかに隔離や殺処分などの適切な処理を行っている。また、輸入される家畜とその食肉についても、水際での防疫が行われている。


<参考HP>