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HOME MEAL MEISTER 02農畜水産物の生産と流通


19-鶏卵

白色レグホーン種(わが国の産卵鶏の約80%を占める白色卵鶏)やロードアイランドレッド種(褐色卵鶏)などの卵が食卵として利用されている。わが国の鶏卵の消費量は近年260~270万トンで推移しており、自給率は95%程度である。しかし、産卵鶏は94%が輸入であり、飼料の原料もほとんど輸入されている。採卵鶏飼養農家は2500戸あまりで、成鶏の羽数は1億3千万羽、農家当たりの平均飼養頭羽数は約5万2千羽であるが、大規模化や専業化が進んでいる。

図1に、鶏卵の流通経路と消費量を示すが、輸入される鶏卵のほとんどは粉卵や液卵などで、菓子やパンなどの加工に使われる。また最近では、香港はじめアジアに輸出される鶏卵も増えており、日本の鶏卵の高い品質が評価されている。

図

図1 鶏卵の流通経路と消費量(2013年度) 


鶏卵は卵殻・卵白(白身)・卵黄(黄身)から成る。卵殻は卵重の10%程度で、主成分は炭酸カルシウム、多孔質で外部から酸素を取り込み、胚の呼吸によって生じた二酸化炭素を放出する。卵白には粘度の高い「濃厚卵白」と粘度の低い「水様卵白」とがある(図2)。

図2 鶏卵の構造(出典:JA全農たまご株式会社HP)

 

市販されている卵は、パック詰鶏卵規格により「1個当たりの重量」でランク付けされ、サイズ毎にラベルの色が指定されている(表1)。卵の大きさは産卵鶏の成長にしたがって大きくなるが、夏場鶏が体重を落とす時など、季節によっても変化する。

表1 鶏卵の取引規格と表示例(出典:農林水産省「たまごの表示をたしかめよう!」)

サイズ(区分) 鶏卵1個の重量 ラベルの色
LL 70g以上、76g未満

L 64g以上、70g未満

M 58g以上、64g未満

MS 52g以上、58g未満

S 46g以上、52g未満

SS 40g以上、46g未満

図


鶏卵は、ビタミンCと食物繊維が少ないことを除けば、ほぼ完全食品である。特にアミノ酸組成に優れており、卵たんぱく質の必須アミノ酸量は他のたんぱく質の基準となる。白色卵と褐色卵は鶏の品種によるもので、栄養価は変わりない。また無精卵と有精卵*1も栄養価に差はない。たんぱく質、脂質、コレステロール、水分などの基本成分は与えた飼料による変化はないが、カロテノイドなど移行しやすい飼料成分がある。この性質を利用してヨウ素、リノール酸、α-リノレン酸、IPA(慣用名EPA)、DHA、ビタミンEなど、特定の栄養成分を多く含む卵や卵黄の色を変化させた「栄養強化卵」など、いわゆる特殊卵が生産される。これらは飼料メーカーや流通業者が主導して銘柄卵としたものと、個々の養鶏場の直売卵に大別される。

鶏はカロテノイドを合成できないため、卵黄の色は黄色トウモロコシなど飼料のカロテノイド系のキサントフィルなどの脂溶性色素に由来する。卵黄の色を濃厚にするため、赤色系色素を含むパプリカやアルファルファミール、エビやカニの甲羅などを添加する場合がある。逆に、トウモロコシの代わりに色素が含まれない飼料米などを与えると、卵黄色は非常に淡くなる。

なお、鶏卵を食べると血中コレステロール値が高くなるというのは誤解である。コレステロールはホルモンや胆汁酸などの材料となる重要な物質で、人間は肝臓での合成量を調整して体内のコレステロール量を一定に保っている。食事から摂取するコレステロールが少ないと、体内で作られるコレステロール量が増加し、逆に多く摂取すると体内で作られるコレステロール量が減少するので、食事からのコレステロールがそのまま血液中のコレステロール値に反映されるわけではない。よって1日卵を2個以上食べると体に悪いとするのは誤りである。

*1 有精卵と無精卵

有精卵と無精卵の違いは、受精している(有精卵)かしていない(無精卵)かの違いで、栄養価は変わらない。雌鶏は、受精していなくても卵を産む。

一般に流通している鶏卵は、サルモネラ属菌(→3章-36参照)感染のリスク排除のため産卵後、温湯で洗われ、次亜塩素酸などで殺菌されている。ひび割れや血の入った卵などを除去し、サイズごとに分けられ包装される。


卵白には加熱すると固まる「凝固性」、撹拌すると泡立つ「起泡性」など、食品加工上の優れた機能性がある。卵焼き、ゆで卵、茶碗蒸しなどは凝固性を利用した調理であり、メレンゲやケーキは発泡性を利用している。一方、卵黄は水と油を混ぜ合わせる「乳化性」が卵白に比べて大きく、マヨネーズ製造に利用されている。全卵の乳化性は各種ケーキ類の製造に利用される。

一般に流通している鶏卵は、サルモネラ属菌感染のリスク排除のため、産卵後、温湯で洗われ、次亜塩素酸などで殺菌されている。ひび割れや血の入った卵などを除去し、サイズごとに分けられ包装される。卵白に含まれる「リゾチーム」は、溶菌作用があり抗菌性を示すことから、生卵の保存性を高めている。鶏卵の賞味期限は、産卵から購入までの日数や保存温度などで異なるが、安心して「生食」で食べられる期限で、「産卵日から21日以内」に設定されており、賞味期限が過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではない。生で食べる際はできるだけ新鮮なものを選び、賞味期限を過ぎた場合は加熱調理して食べることが望ましい。その他、冷蔵(10℃以下)で保存すること、殻を割った状態で放置しないこと、調理後はすぐに食べること等に注意したい。


鶏卵は「食品アレルギー」の原因食品の1つである(4章ー43参照)。卵白中のたんぱく質「オボムコイド」が最も強力なアレルゲンで、このたんぱく質は水に溶けやすい性質がある。また、たんぱく質は熱で性質が変化するため、卵のアレルゲン性は加熱によって大きく変化し、加熱温度が高く、加熱時間が長い程、アレルギーは起きにくくなる。鶏卵アレルギーは乳幼児に多くみられるが、成長するにしたがって消化管や免疫機能が発達して症状の改善がみられ、食べられるようになることも多い。


<参考HP>