本文へ

ホームミールマイスター WEBテキスト ロゴ(一社)日本惣菜協会

ホームミールマイスター WEBテキスト

HOME MEAL MEISTER 02農畜水産物の生産と流通


15-世界の穀物

世界の穀物の生産量と消費量は、生産性の向上や途上国の所得水準の伸びを背景に増産と需要の拡大が続いている(グラフ1)。その用途も人間の主食だけでなく、飼料用への用途も拡大している(グラフ2)。これは、経済発展によってより多くの人が肉食を好み、肉食の需要が高まっていることが背景にある。

グラフ1 世界の穀物生産量と消費量の推移 (出典:農林水産省「世界の穀物需給及び価格の推移」)

 

グラフ2 世界全体の穀物需要の見通し

(出典:農林水産省 「平成27年度食料・農業・農村白書」)


「三大穀物」と言われる、米、小麦、とうもろこし、そして大豆の生産量について述べる。

(1)米

米は主にアジアなどの温暖で湿潤な地域で栽培されており、世界で約7億4千万トンが生産されている(2014年世界食糧機関(FAO)統計)。最大の生産国は中国で、インド、インドネシア、バングラディシュ、ベトナムと続き、日本は9位の生産国である(グラフ3)。

日本ではおよそ1年に1回の収穫であるが、アジアでは二期作や三期作が可能な地域もあり、世界の生産量の9割がアジアで生産されている。また、世界貿易機関(WTO)の協定により年間77万トンの米が輸入されており、主に飼料や工業用加工の原料となっている。

グラフ3 米の国別生産量(出典:FAO統計)

(2)小麦

小麦は温帯から亜寒帯にかけて生育し、比較的乾燥に強い作物である。籾と外皮をとり、製粉して食用に供するのが一般的である。製粉した小麦はパン、菓子、パスタやうどんなどの麺などに加工されるが、その用途は広く、小麦に含まれる「グルテン」というたんぱく質は、植物性たんぱく質として肉の代用品としても加工されることがある。

生産量は約7億3千万トンで、主要な生産国は中国、インド、米国、ロシア、フランス、カナダ、ドイツと続き、欧州での生産が多くを占める。

(3)とうもろこし

とうもろこしは、油、飼料、またシロップ(異性化糖)などへの需要が多く、近年最も生産量が伸びている。2014年では約10億4千万トンの生産があり、米国、中国、ブラジルでの生産が盛んである。

(4)大豆

大豆は、日本では豆腐や味噌・醤油の原料として位置付けられるが、世界的に見れば油や飼料としての需要が最も高い。約3億6千万トンの生産量のうち、米国、ブラジル、アルゼンチン、続いて中国が生産量上位を占める。主要生産国では、遺伝子組換え大豆が導入され、高い単収(単位面積当たりの収穫量)を上げている。

グラフ4 世界の穀物の地域別生産比率(出典:FAO統計)


穀物の収量は天候に左右されることが多い。近年の地球温暖化や甚大な自然災害が頻発する気候条件の下、穀物の価格は上昇基調である。加えて、金融の投機的な対象にもなり、バイオエタノール(燃料)など新しい用途の需要が高まるなど、大切な主食であるにも関わらず、穀物価格が大きく変動する時代となっている。だからといって、メディア等の報道があおるような、食料危機にすぐ直結するリスクは、高くはない。


<参考HP>