本文へ

ホームミールマイスター WEBテキスト ロゴ(一社)日本惣菜協会

ホームミールマイスター WEBテキスト

HOME MEAL MEISTER 03調理と衛生


39-家庭での衛生管理

食中毒は一般家庭でも発生する。食中毒予防の原則は、食中毒になる原因菌や原因物質を「つけない」「増やさない」「やっつける」の3つである。食中毒の特徴を理解し、この「食中毒防止三原則」を守ることで、家庭での食中毒を防ぐことができる。

「つけない」 「増やさない」 「やっつける」
手洗い・洗浄、清掃 保存温度・期間、乾燥 消毒・加熱
(1)つけない

生鮮食品などの食材の汚染を「一次汚染」、細菌に汚染された包丁やまな板、手指などから調理した食品に菌が移ることを「二次汚染」という。

人の手指には見えない様々な細菌やウイルスが付着し、空気中にも浮遊している。また肉や魚、野菜などの生鮮食品や調理器具・食器類にも菌が付着している。食中毒菌は手や調理器具を介して食品に付着する。食品に食中毒菌を付けないように、a)食材の洗浄、b)調理器具類の洗浄・殺菌、c)手を正しく洗うことを徹底する。

家庭での食中毒を防ぐため、最も基本的で有効なことは「手洗い」である。食材を扱う前には石鹸で十分に手を洗い、すすぎも十分にすることが必要である。調理中に肉や魚に触った後に野菜や食器に触る時には、十分に手洗いをしないと二次汚染の原因となる。

図

また、食材を購入する場合、買い物かごに入れると温度管理ができないので、要冷蔵の肉や魚は最後に購入する。また、購入した肉や魚の汁(ドリップ)が他の食材に付かないように気を付け、他の食材に触れないようにしてなるべく早く冷蔵庫で保存する必要がある。

生野菜やあえ物など加熱しないで食べるものに使う食材は、調理の際にも保存の際にも、特に注意が必要である。

◆衛生的な手洗い   参考)公益社団法人食品衛生協会「手洗いマニュアル」

    1. 1.流水で手を洗う
    2. 2.洗浄剤を手に取り、手と手首を洗う

<順番>手の平・指の腹面→手の甲・指の背→指の間・指の付け根→親指と親指の付け根→指先→手首(内側、側面、外側)

  1. 3.洗浄剤を十分な流水でよく洗い流す
  2. 4.手を拭いてよく乾燥させる ※タオル等の共用はしないこと
  3. 5.アルコール消毒する(直接かけた後、手指全体によく擦り込む)
(2)増やさない

食材や食品に付いてしまった食中毒菌を増やさないように、正しい温度管理を行う。冷蔵品は10℃以下、冷凍品は-15℃以下で保管する。室温18℃で冷蔵庫を10秒間開けていると庫内温度は5℃上昇すると言われている。庫内温度を上昇させないため、冷蔵庫や冷凍庫の開閉は最低限にする。

細菌の多くは増殖適温の「15~45℃」付近の温度で、急速に分単位で増殖するので、洗浄・加熱殺菌する前の生食材は常温に放置せず、冷蔵庫から出したらなるべく早く調理する。

(3)やっつける(殺す)

食材や食品、調理器具・食器類、手指に付いた食中毒菌を除菌・殺菌する。家庭での殺菌方法は、加熱と薬剤によるものが主となる。汚れが残っていると殺菌の効果が低くなる場合が多いので、洗浄も十分に行うことが必要である。

①加熱殺菌

食中毒菌に限らず、通常の細菌やウイルスは、85℃・1分間の加熱で死滅する。ただし、85℃・1分間の加熱で全ての細菌が滅菌される訳ではなく、残った耐熱性のある細菌が時間とともに増えてくるので、調理後はなるべく早く食べるようにする。

食材の調理は表面だけでなく、熱の伝わりにくい中心部までよく加熱し、調理器具の消毒は、煮沸(80℃で5分間以上)、蒸気(100℃で5分間以上)などで行う。熱湯をかけただけでは効果は低く、沸騰したお湯に浸し、しばらく沸騰を継続させる必要がある。

②薬剤殺菌

殺菌力を持つ薬剤は数多くあるが、それぞれ殺菌力や特徴が異なるので、目的に応じて選び、決められた方法で使用することが大事である。塩素系の殺菌剤(次亜塩素酸など)は、比較的効果が高い。特有の臭気があるが、分解しやすく分解後は臭いがないので使用しやすい。


食中毒予防のポイントは、大きく次の3つのグループに分けられる。

①予防に、食中毒防止三原則の「やっつける」が大事になるもの

 このグループの食中毒は、調理での加熱や保管温度管理で防ぐことが可能である。

②予防に、食中毒防止三原則の「増やさない」が大事になるもの

 このグループの食中毒は、調理での加熱では防げないため、保管温度管理等で防ぐ必要がある。

③予防に、食中毒防止三原則の「つけない」が大事になるもの

 このグループの食中毒は、「汚染された食品から」と「感染した人から」の2つの経路があり、感染者の汚物や吐物から人の手を介して汚染された食品で発症する場合もある。そのため、生鮮食品などの「一次汚染」と合わせて、細菌に汚染された包丁やまな板、手指などからの「二次汚染」を防ぐことが重要である。