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HOME MEAL MEISTER 03調理と衛生


31-調理の科学(煮る・焼く・蒸す・揚げる)

「煮る」とは、調味液の中で食品を加熱することである。加熱と同時に調味することができる。

<ポイント>

図

(1)煮汁の量:水分の多いものは少なめ(いも類や魚類)にし、落し蓋(ぶた)を使用する。水分の少ないもの(乾物や豆類など)は多めにする。煮しめやおでんのように長時間煮るものは、味は薄味、煮汁は多めにする。

(2)火加減:沸騰するまでは強火、その後は沸騰が続く程度の火力にする。

(3)切り方:材料のもつ旨味や水溶性成分の溶出を最小限に抑えるように切る。一つの材料は同じ大きさに切り、煮えにくいものは小さめに切ったり、隠し包丁を入れる。(輪切りの大根の裏側に、十文字に切り込みを入れるなど)

(4)調味:動物性の魚や肉類は、調味液が沸騰してから入れる。いも類などの根菜類は、水と砂糖だけで煮て、ある程度柔らかくなってから、塩、醤油などを入れる。調味料を入れる順序を「さ、し、す、せ、そ(砂糖・塩・酢・醤油・味噌の順)」と言われる。必ずしもこの順が該当する訳ではないが、砂糖は分子量が342、塩は分子量が58.5であるので、塩と砂糖を一緒に入れると分子量の小さい塩が砂糖より先に浸透してしまうこと、あるいは砂糖には材料を柔らかくする作用もあることから、砂糖→塩の順ということが言われていると考えられる。また酢、醤油、味噌を後から入れるのは、香りや風味を逃がさないという配慮からである。


「蒸す」とは、水蒸気の持つ熱を食品に与え、蒸気の対流により食品を加熱する方法である。

<特徴>

図

(1)加熱温度は100℃以下である。

(2)食材の形、風味を保つ。

(3)蒸し水がなくならない限り、焦げることはない。

<ポイント>

(1)加熱中の調味はできないので、最初に調味しておく。

(2)蒸し時間の設定は、蒸し器の穴から蒸気が出た時を開始とする。

(3)米、いも類、まんじゅう類、冷や飯、魚介類、肉類、根菜類は100℃を保ちながら加熱する。

(4)もち米を蒸すときは、途中振り水をして、固さを調節する。

(5)茶碗蒸し、卵豆腐、プディングなど卵液を凝固させるときは、蒸し器内の温度が、80~90℃になるように火力を調節する。最近は、蒸し器を使わず、電子レンジで蒸す機会も多い、電子レンジで蒸す場合は、材料を水で濡らす、ラップで包むなどの工夫が必要である。


「焼く」とは、直接火にかざして加熱する直火焼きと、中間体を通して食品を加熱する間接焼きに分けられる。

<特徴>

図

(1)高温加熱(150~280℃)のため、焼き色や焦げ目がつき風味、香りがよい。

(2)高温で加熱されて食品の表面が凝固するので、旨味や栄養成分の流出が少ない。

(3)水分が減るので、味が濃縮される。

<ポイント>

(1)直火焼きは、温度管理が難しい。魚を焼く時は「強火の遠火」がよく、鉄灸を使うときれいに焼ける。家庭では、グリルを十分熱くしてから魚を入れ、強火で表面を固めた後、弱火から中火で中まで火を通す。

(2)間接焼きは、器具に油を引く場合もある。オーブン焼きは温度管理が比較的容易である。


「揚げる」とは、油の中に食材を入れて、水と油の交代をしながら加熱する方法である。

図

<特徴>

(1)媒体が油であるので、加熱温度が高く(140~190℃)衛生的である。

(2)家庭で使用する油は、植物油(サラダ油、なたね油など)が主である。

<ポイント>

(1)揚げ物は、食材により適した温度、時間がある。

(2)油の温度管理が重要である。

(3)揚げ物は、揚げてから時間が経つと油と空気中の水が再び交代し、油がにじみ出ておいしくなくなるので、揚げたてを食べるのが良い。

(4)使用した油は加熱により酸化し、色・臭いが悪くなり、粘度も出る。使用後はこし器でこし、冷暗所に保存する。何回か使用した油は廃棄する。