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HOME MEAL MEISTER 03調理と衛生


37-微生物性食中毒(2)

(2)細菌性食中毒(毒素型)
① 黄色ブドウ球菌
菌の特徴 健康な人の鼻や喉の中にも常在する菌で、にきびや水虫等に存在する化膿性疾患の代表菌。食品中で増殖して毒素エンテロトキシンを作る。菌自体は熱に弱いが、毒素は耐熱性があり、調理加熱では分解されない。食塩濃度が7~10%でも増殖し、乾燥に強く、酸素がない状態でも増殖が可能。
感染経路 手指に化膿性疾患のある人、風邪をひいている人が触れた食品を介して感染。
原因食品 握り飯や弁当、仕出し弁当、和菓子、シュークリームなど
症状 吐き気、嘔吐、腹痛。一般に高い熱は出ない。
潜伏期間 1~5時間(平均3時間)

図

◆予防のポイント

      1. 手指などに切り傷や化膿創のある人は、食品に直接触れたり、調理をしたりしない。
      2. 手指の洗浄・消毒を十分に行う。
      3. 食品は、10℃以下で保存する。
      4. 環境にも広く分布していることから、調理器具や容器などの洗浄と殺菌を徹底する。
(1)ノロウイルス

毎年、食中毒の年間患者数の約半分はノロウイルスによるもので、そのうちの約7割は11~2月に発生するなど、冬期の感染性胃腸炎の集団発生例の多くはノロウイルスによると考えられている。

(出典:厚生労働省HP 食中毒予防のポイント「ノロウイルスリーフレット」より)

特徴 冬季の発生が多い。主に、調理者を通じた食品の汚染により発生する。感染力が強く、大規模な食中毒など集団発生を起こしやすい。
感染経路 カキなどの二枚貝が汚染した食品を介した経路(A)と、ヒトからヒトへの感染経路(B)の2つがある。 (A)ノロウイルスはヒトの小腸粘膜で増殖するウイルスであり、食品中では増殖しないが、二枚貝の生息域がノロウイルスに汚染されると、二枚貝がノロウイルスを体内に蓄積すると考えられる。 (B)ノロウイルスに感染した調理従事者から食品に移行し、これを食べた人が食中毒となる事例が多発している。さらに、感染者の便に接触したり、嘔吐物が飛散したりすることによる「人→人感染」が多くなっている。
原因食品 カキなどの二枚貝
症状 主な症状は嘔吐と下痢。腹痛や38℃以下の発熱など。通常3日以内で回復する。
潜伏期間 24~48時間

◆予防のポイント

        • カキなどの二枚貝は中心部まで十分加熱する(85~90℃、90秒間以上)。
        • 貝類を生で食べる時は、ウイルスが蓄積している可能性が高い内臓を除去する。
        • 調理する人は、用便後や調理をする前には、よく手を洗浄し、消毒を行う。
        • マスクや手袋の着用を習慣づけ、調理中は会話を控える。手袋はこまめに取り換える。
        • 熱湯消毒などをした清潔な調理器具、容器を使用する。

長らく原因不明とされていたヒラメや馬刺しなどによる食中毒の原因が寄生虫によるものと判明したとして、厚生労働省は2013年の食中毒統計よりアニサキス、クドア、サルコシスティスなどの寄生虫を食中毒原因物質として分類して集計するようになった。

(1)アニサキス

アニサキスはサバ、アジ、イカ、イワシなど多種類の魚介類に寄生している。汚染された魚介類の刺身を食べると、普通は感染から3週間程度で自然に消化管内から消失するが、胃や腸に突き刺さると、みぞおちに激しい痛みを感じ、悪心・嘔吐を生じる。熱に弱いため60℃、5秒間あるいは-20℃の冷凍保存で死滅する。

(2)クドア

ヒラメの刺身を食べて吐き気や嘔吐、腹痛の症状を呈することがあり、原因がクドアであることがわかった。主な症状は下痢、吐き気、嘔吐などで、75℃・5分間以上の加熱、あるいは冷凍(-15~-20℃)4時間以上で病原性を示さなくなる。


<参考HP>