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67-食品表示に関する法律

食品表示は、それぞれの法の目的によって規制されている(表1)。

  1. 食品表示法:食品を摂取する際の安全性、合理的な商品選択の機会の確保
  2. 景品表示法:公正な競争を確保し、消費者の利益を保護、優良誤認、有利誤認等の防止
  3. 不正競争防止法:事業者間の公正な競争の確保
  4. 計量法:適正な計量の実施を確保
  5. 健康増進法:栄養改善および健康の増進、健康保持増進効果等の誇大表示の禁止

表1 食品表示関連の法令等と適用内容

法令等  対象(範囲) 表示事項
主に表示すべきことを規定 食品表示法

(一部禁止事項)

加工食品(容器包装入り) 名称、原材料名、原料原産地名(対象品目)、内容量、原産地名、原産国名(輸入品)、添加物、アレルゲン、消費期限又は賞味期限、保存方法、遺伝子組換え食品、食品関連事業者等、製造所等、栄養成分
保健機能食品(特定保健用食品・栄養機能食品・機能性表示食品)は、加工食品の横断的義務表示事項のほかに、それぞれ、義務表示事項が加わる
生鮮食品(容器包装入りでないものも) 名称、原産地名、原産国名(輸入品)等 農産物・畜産物・水産物のそれぞれに個別の表示事項がある
計量法 特定商品 内容量(質量・体積):特定商品以外は個数、食数等の表示が可能
主に表示してはならないことを規定 健康増進法 表示全般 健康保持・増進についての虚偽・誇大な表示等の禁止
景品表示法 表示全般(POP・口頭等も含む) 消費者が誤認する誇大広告、不当表示の禁止(優良誤認、有利誤認)

消費者庁が所管する食品の表示基準はいくつかの法律にまたがっていたが、平成27年4月1日に食品表示法(食品表示基準)に統合され、合わせて新たに栄養成分表示の義務化や機能性表示食品の新設、アレルゲン等の表示ルール変更などの一部見直し等が行われた。

この新たな食品表示基準の義務表示の対象は「生鮮食品」と「容器包装入りの加工食品」で、基準の適用は施行日の平成27年4月1日からとなっているが、切り替え準備等のための「経過措置期間」が設けられており、経過措置期間を経て、生鮮食品は平成28年9月ですでに適用となっており、加工食品は平成32年4月1日に完全移行となる。

また、業務用加工食品及び業務用生鮮食品についても、必要な表示事項を定められた方法に従い、表示する必要がある。

他に食品を対象とする関連法令として「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」「不正競争防止法」「健康増進法」「計量法」などがある。

図1 食品表示法の表示事項 出典:消費者庁 

食品表示法は、食品表示基準で具体的な表示すべき事項と方法等を定め規制しているが、景品表示法は、表示してある内容が不当なものかどうかを判断し、規制するためのものである。つまり、景品表示法は「してはならない」虚偽・誇大などの不当表示を規制しており、具体的な表示の方法を定めたものではない。特に、一般消費者に実際のものよりも著しく優良であると誤認される「優良誤認」表示や、価格等について著しく有利であると誤認される「有利誤認」表示などは「不当表示」とみなされ、特に「優良誤認」での摘発例は多く、公表された過去の事例等に留意する必要がある。


食品表示基準そのものではないが、米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律(米トレーサビリティ法)及び牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法(牛トレーサビリティ法)も必要な情報の伝達等が義務付けられている(表2)。

このほか、地方自治体が定めている条例や、事業者団体が自主的に設定している「公正競争規約」も食品表示にとっても重要なルールなっている(表3)。

表2 他の法律等で食品の表示に関係するもの

法律 対象(範囲) 表示事項
米トレーサビリティ法(米穀等の産地情報の伝達義務) 米、米加工品 米の産地情報の伝達 (商品ラベル、POP、その他の方法で)
牛トレーサビリティ法(国産牛の個体識別番号の表示義務) 牛、牛肉 個体識別番号(商品ラベル、プライスカード等)
弁当及びそうざいの衛生規範  衛生の確保及び向上(厚生省通知) 弁当、そうざい 指導基準となっている) 弁当の類にあっては、消費期限について、必要に応じて時間まで記載

表3 自治体の条例による表示(例:東京都消費生活条例による品質表示)

品目  表示すべき事項 品目  表示すべき事項
調理冷凍食品 (1) 原材料配合割合 はちみつ類 (1) 品名
(2) 原料原産地名 (2) 原材料の割合又は重量
かまぼこ類 (1) でん粉含有率 カット野菜及びカットフルーツ (1) 加工年月日
(2) 原材料配合割合

食品表示法は、関係省庁や自治体と連携して消費者庁が執行する。罰則に関しては、食品表示法では、表示基準を遵守すべき旨の指示を行い、同時に違反事業者名を公表、命令に従わない場合、原産地の虚偽表示では、法人で1億円以下の罰金、個人では2年以下の懲役または200万円以下の罰金が定められ、他の違反のケースに応じて適用される種類の罰金がある。

景品表示法は、消費者庁等が行う措置命令に従わない場合には、2年以下の懲役または300万円以下の罰金を規定している。また、不当な表示を行った事業者に対しての課徴金制度が導入され、優良誤認表示または有利誤認表示を行った事業者に課せられる。

そのほか、不正競争防止法、健康増進法にもそれぞれ罰則が設けられている。