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HOME MEAL MEISTER 06食品の表示・食の情報


81-どんな情報をどこから得るか?

食品の安全性や機能性に関する科学的メカニズムは非常に複雑だ。「○○は効く」「△△は危ない」などと簡単に分かりやすく説明する情報は、それを鵜呑みにするのではなく、中立的な立場にある行政や研究機関の情報とも照らし合わせ、よく吟味する必要がある。この章では、どのような情報を得るべきかを学ぶ。


安全性に関してもっとも科学的で客観的な情報を提供するのは、内閣府の食品安全委員会だろう。現在、食品の安全性確保においては、「リスクアナリシス」という方法がとられている。これは、「リスクアセスメント(リスク評価)」「リスクマネジメント(リスク管理)」「リスクコミュニケーション」の三つの要素からなるプロセスだ(→6章ー79参照)。

リスクコミュニケーションは、食のリスクにかかわる消費者、生産者、流通・販売業者、研究者など様々な関係者の間で情報交換し議論を交わすことである。食品安全委員会は、リスクアセスメントを担当しつつリスクコミュニケーションを行っており、多くの情報をパンフレットやインターネットなどにより提供している。社会的影響の大きい問題が発生した時にも、迅速に情報を出している。評価を行った科学者自身が説明する「意見交換会」なども開催しており、一般参加の消費者なども発言できる。

リスクマネジメントを行う厚生労働省、農林水産省なども、関連する情報を提供しリスクコミュニケーションを実施している。また、自治体も食の安全を担当する専門部署を設置しシンポジウム、学習会などを開いており、そうした機会をとらえて参加すれば、効率よく情報を収集することができる。


食品の機能性成分に関しては、国立研究開発法人 国立健康・栄養研究所が情報を提供している『「健康食品」の安全性・有効性情報』の解説が、科学的根拠に基づく妥当な情報を提供している。いわゆる健康食品に含まれる様々な成分のほか、特定保健用食品など、国が機能を認める食品についても詳細な解説がある。


これらの機関が提供する情報は、科学的には極めて妥当な情報であるため、最初は分かりにくく感じられる。複雑さに戸惑う人もいるだろう。これに対して、健康食品企業などは体験談を強調するため、どうしても「分かりやすい」と感じ、親近感も抱いてしまう。

しかし、「○○を飲んだら、体調が良くなりました」などという体験談は、あくまでも個人の感じたことであり、全ての人に当てはまるものではない。また、人に対する効果は個人差が大きいうえ、「特別なものを飲んだ」という気持ちだけで体調が良くなる人もいる(こうした現象は、「プラセボ(=偽薬効果)」と呼ばれており、医薬品などの試験でしばしば観察される)。健康な人にはよいけれど、持病を抱える人には深刻な影響をもたらすという機能性成分もあり、体験談を科学的な根拠とみてはならない。

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公正取引委員会が景品表示法に基づき問題のある企業に警告しているほか、独立行政法人国民生活センターも問題事例に公表しているため、チェックして欲しい。

その情報が広まった時に誰が得をするのかを考え、ほかの機関によって発信された情報も収集し突き合せて考えていくことが重要になる。食品の安全性や機能性に関する判断は、研究の進展によって大きく変わり、昨日までは「安全」とされていたものが今日になって「リスクがある」とされることも頻繁に起きる。新しい情報の収集にも、気を配って欲しい。

国立研究開発法人 国立健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報のトップページ

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<参考HP>