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HOME MEAL MEISTER 08惣菜・弁当の製造から売場まで


98-流通管理と販売現場

(1)惣菜は温度変化に敏感

冷蔵販売されている惣菜の表示を見ると「保存温度10℃以下」となっている商品が多い。この「10℃以下」は、食品中の微生物が増殖できない温度であるとされ、この温度で保存していれば、消費期限内は微生物の増殖による食品の変質を防ぐことができる。逆に言えば、この保存温度以上で保管していると、消費期限内であっても食品の変質が起こるということである。

惣菜メーカーでは、消費期限を決める時に、何℃の冷蔵庫に何時間保存した場合、食品中の微生物がどのくらいの量になるかを検査している。その際、虐待試験といって保存温度を高くした場合の検査も行い、総合的に判断して消費期限を決めている。ある商品の虐待試験では、10℃以下であれば製造日から3日後でも一般生菌数が1000以下であったが、保存温度を15℃にしただけで2日目には100万を超える細菌数が検出されるなど、温度が5℃高くなるだけで微生物の増加=商品の変質が起こるのである。そのため、食品表示に記載されている保存温度をしっかり守ることが重要である。

(2)工場から店舗まで商品が届くまで

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食品表示に記載されている保存温度を守らなければならないのは、消費者が購入した後に限らない。食品メーカーの工場からトラックで物流センターまで届ける場合も、物流センターから店舗まで届ける場合も、保存温度は守らなければならない。そのため、冷蔵トラックの荷台(コンテナ)には温度計がついており、走行中も常に運転席でコンテナ内の温度を確認できるようになっている。また、積載時などトラックのエンジン停止時でもコンテナ内の温度が上がらないように、外部電源で冷蔵庫を動かすシステムがあり、工場での積載時から店舗に届けるまで、一貫して温度変化が起きないようにして運搬されている。そして、店舗に納品された食品は、すぐに冷蔵庫で保管されるが、当然店舗の冷蔵庫でも保存温度を守って保管しなければならない。

(3)給食の場合

給食を製造する企業に対しては、厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」の中に給食配送時の温度管理について「配送過程においては、保冷又は保温設備のある運搬車を用いるなど、10℃以下又は65℃以上の適切な温度管理を行い配送し、配送時刻の記録を行うこと」と記載されている。

給食は、調理終了後2時間以内に喫食することが望ましいとされていることから、ご飯や汁物など温かい状態で食べるものは、保温容器などを使って温かい状態で配送することとされており、スーパーマーケットやコンビニエンスストア用の食品とは異なる温度管理で喫食者の元まで運ばれている。


(1)「買いやすい売り場」の取り組み

商品開発・企画、仕入れ、製造・加工、販売等の商品の全工程についての計画から販売、消費までのすべての活動のことを「マーチャンダイジング」という。お客様の要望に応えるために、年間、四半期、月次、週次、日次で計画し、それに沿って時間帯別の作業計画や細かなマーチャンダイジング(タイムマーチャンダイジング)を行うことがポイントとなる。

時間軸で見ると、客数や来店客の属性(年齢、性別、家族構成、職業)や来店手段(車、自転車、徒歩)も異なり、曜日や時間帯による特性によって、品揃えや陳列量、お奨めポイントなどの対応にも変化が求められ、そのためのきめ細やかな作業計画も必要となる。加えて、その日の天候、地域の行事や学校給食等の状況やテレビ番組等は、来店・買い物動向への影響もあることから、情報収集と共有化、及びタイムマーチャンダイジングへの反映が重要になる。

惣菜等を容器包装に入れて対面販売したり、容器包装入りのインストア加工品(その場で作り販売するもの)のコロッケや天ぷらを販売する場合などには、食品表示の義務が課せられていないものがある。例えば、原材料についてなどは「その場で作り、その場で販売」していることから、聞かれた場合にも詳しく応えられるという考え方で、表示が義務付けられていない項目がある。

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◆「デリカアドバイザー」のいる店

惣菜・中食産業は、社会環境の変化を背景に、家庭内調理の代行業として、市場規模9 兆円を超える大きな産業へと成長し、国民の食生活に欠かせないものとなった。それと同時にお客様の期待も大きくなり、美味しさや価格だけでなく、原材料や栄養素についての素朴な質問から、食物と健康、安全・安心に係る問題などの様々な問いかけをいただくようになった。
お客様が商品を選択する際に必要な情報を正しく伝えていくことが重要であることから、一般社団法人日本惣菜協会では食品表示の読み方や、惣菜・弁当を調理・販売する際の注意点や栄養素など、惣菜製造と小売販売の両方の基礎知識を学ぶ「デリカアドバイザー」養成研修を2013年より開始した。今までに約200社、1400名以上(2017年3月現在)の方が資格を取得され、惣菜製造・販売現場でお客様との更なる信頼性向上の一助を担っている。デリカアドバイザーのいる店には掲示があるので、ぜひ買い物の際にお声がけいただきたい。
(★店頭表示実施店舗:https://www.nsouzai-kyoukai.or.jp/training/tento/tento_da_list/)