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HOME MEAL MEISTER 08惣菜・弁当の製造から売場まで


95-惣菜の製造(2)炊飯、加熱処理

惣菜・弁当には、ご飯の他、揚げ物、焼き物、煮物、蒸し物といった加熱調理を行った多種多様なおかずが入っている。それぞれの加熱調理工程について、安全や美味しさのポイントを挙げる。

炊飯方法には電気炊飯、ガス炊飯がある。各特徴を生かして工場では出荷製品に応じた選択を行っている。ガス炊飯は連続炊きと一釜炊きの2種類がある。特に一釜炊きは、温度を柔軟にコントロールできる点が評価されており、ガス使用量も以前よりも抑えられるようになった。

「炊飯・蒸らし」「反転・ほぐし」「計量・包装」が清潔作業区域で行われる。炊き上がったご飯は細菌の増殖を抑えるために、炊飯ライン上のほぐし機、粗熱取り機で65℃まで下げる。給食などはそのままご飯用の容器に盛り付けたり、弁当などは30℃程度まで冷却した後、容器に盛り付けされる。温度20~22℃にし、菌が増殖しにくい温度帯にしてから弁当やおにぎり用の米飯に使用する。配送は、20℃±2℃の温度管理をして行う。給食など、炊飯後5~6時間内に食する場合は冷却の必要はない。

◆ご飯の冷やし過ぎに注意

炊飯は、米に水を加えて加熱して、生のでんぷんを人の胃や腸で消化のできるα(アルファー)化したでんぷんにすることである。α化することにより、でんぷんは粘りを持ち、おいしいご飯になる。しかし、α化したでんぷんは、加熱終了後に変化し始め、でんぷん分子が再び集まって生でんぷんに近い構造になっていく。この現象をでんぷんの「老化」と言い、2~4℃で最も進みやすいため、冷蔵庫の温度で保存した時に最も早く老化が進む。ご飯の保存方法として、凍結するとでんぷんの老化の進行を遅らせることができるため、冷凍保存が良い。

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写真1 工場での、一釜炊飯方式による炊飯


(1)揚げ物

油の温度が設定温度以上になったことを確認し、調理時間を測りながら調理する。揚げている途中で、芯温計で中心温度を測定する。3点以上の箇所を測定。中心温度が75℃を超えたら、それからさらに1分以上加熱する。

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写真2 フライヤーでの調理

また、揚げ油は、食中毒や胸やけ、味の劣化を防ぐために、油の酸化チェックを行う。油の酸化度の測定は、AV(酸価)テスターかPOV(過酸化物価)テスターという簡易測定キットを使用するのが一般的である。測定値がAVテスターで1.8、POVテスターで20を超えたら、揚げ油の交換を行う。

(2)煮物

厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」では、調理場は換気を心がけ、湿度80%以下、温度25℃以下に保つこととしているが、これよりも厳しい湿度・温度を規定している工場も多い。加熱調理中の煮物は、最も火の通りにくい具材を選び、芯温計で中心温度を測定する。75℃以上になっていることを確認し、さらに1分以上加熱を続ける。

(3)焼き物

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写真3 焼き物の中心温度の測定

焼き物の素材は畜肉・鮮魚系食材が多い。そのため、中心までしっかり火を通すことが安全のポイントである。近年、結着等の加工処理を行った食肉によるO-157(腸管出血性大腸菌)食中毒が発生した。飲食店の加熱調理の不十分が指摘されている。このような事故を防ぐため、ハンバーグやステーキなど肉の塊は、食べる段階で中心部を75℃で1 分間以上加熱調理することが定められている。他の加熱調理と同様に、調理開始時間を確認し、調理の途中で食品の中心温度を測定する。3点以上測定し、全ての点で75℃以上に達しているかを確認し、その時点からさらに1分以上加熱を続ける。

(4)蒸し物

工場生産では、ぎょうざの餡ダネのキャベツは、「洗剤→水→次亜塩素酸ナトリウム→水」の4 つの槽を、順番に「洗浄~除菌~すすぎ」される。この工程で最も重要な管理点は、3槽目の次亜塩素酸ナトリウムによる除菌である。濃度を常に安定させることで一般生菌の増殖を抑える。

また加熱時には、焼き物などと同様に、中心温度を測定する。3点もしくは最も火が通りにくい箇所1点の温度が75℃以上であることを確認し、さらに1分以上加熱を続ける。