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99-食品をめぐる法律

食品は我々が生きるためになくてはならないものであり、直接口に入れるものであるため、安全であることは何よりも大切である。しかし食の安全を揺るがす、偽装表示等の報道が後を絶たないのが現状である。食の安全を守るための道具の一つとして法律があるが、食品に関する法律と一口に言っても、かなり広い分野に渡っているため、すべてを取り上げることは難しい。食品に関わる代表的な法律として、ここでは「食品衛生法」「食品安全基本法」「農林物資の規格化等に関する法律(JAS法)」、「景品表示法」について述べる。なお、「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)」は☞7章-89、「食品表示法」は☞6章-67、「米トレーサビリティ法」と「牛トレーサビリティ法」については☞6章-78を参照のこと。


(1)食品衛生法

この法律は昭和22年に制定、平成18年に大幅改正され、今日に到っている。「食品衛生」とは、毎日摂取する食品を安全な状態に保ち、食品の汚染や変質などによって起こる危害を防止するための知識であり技術であるとされている。言い換えると、我々が日常摂取する飲食物や、それに関係する添加物、器具、容器包装などについて、衛生的な品質・安全性を確保し、食生活を清潔快適なものにするための法律である。

この法律の中で最も重要な内容は第6条(販売を禁止される食品及び添加物)に示されており、例えば「病原微生物により汚染され、又はその疑いがあり、人の健康を損なうおそれがあるもの」「不潔、異物の混入又は添加その他の事由により、人の健康を損なうおそれがあるもの」の販売が禁止されている。その他にも、食品衛生に関する多くの規格・基準を定めているが、その中でも「食品の表示に必要な事項」についての規定は、後述する(3)JAS法との関連で重要である。

(2)食品安全基本法

国民の健康保護を最優先とした食品安全行政を推進するため、平成15年に制定された。

この法律の目的は、「食品の安全性の確保に関し基本理念を定め、国、地方公共団体および食品関連事業者の責務や消費者の役割を明らかにするとともに、施策の策定に関わる基本的な方針を定めることにより、食品の安全性の確保に関する施策を総合的に推進すること」である。

この法律の中で「食品関連事業者」とは、食品を製造販売する者だけが対象でなく、原材料の生産に携わる農業・漁業関係者までも含めており、その食品の安全性の確保に対する責務を定めている。そしてこの法律では、消費者にも食品の安全性の確保について積極的な役割を果たすよう努めるとする役割を定めている。

また、この法律の第22条により、内閣府に「食品安全委員会」を置き、専門的・客観的・科学的観点から、食品健康影響評価を実施している。

(3)JAS法(農林物資の規格化等に関する法律)

この法律は、飲食料品等が一定の品質や特別な生産方法で作られていることを保証する「JAS規格制度」と、原材料・原産地など品質に関する一定の表示を義務づける「品質表示基準制度」からなっていたが、平成27年4月の食品表示法の制定に伴い、JAS法の食品表示に関する規定が食品表示法に移管され、JAS法の名前が「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」から「農林物資の規格化等に関する法律」に変更となった。

この法律の目的は、農林物資の

1.規格を制定・普及させることによって、①品質の改善、②生産の合理化、③取引の単純公正化、④使用又は消費の合理化を図る

2.品質に関する適正な表示を行わせることによって一般消費者の選択に資すること

によって、公共の福祉の増進に寄与することである。 なお、JASとは、日本農林規格の英訳「JAPANESE AGRICULTURAL STANDARD」の頭文字をとった略称であり、この法律で定められた「JAS規格制度」に基づいて、認可された製品にJASマーク(☞6章-69)が表示されている。

(4)景品表示法

景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)は、不当な表示や過大な景品類の提供による顧客の誘引を防止するため、一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為を禁止するなどにより、消費者の利益を保護することを目的とする法律である。法律の名前からはわかりにくいが、決して食品に無関係な法律ではない。

図

図1 景品表示法の不当な表示の禁止

出典:消費者庁パンフレット

「よくわかる景品表示法と公正競争規約」

景品表示法は「してはならない」虚偽・誇大などの不当表示を規制しており、この法律により、一般消費者に実際のものよりも著しく優良であると誤認される「優良誤認」表示や、価格等について著しく有利であると誤認される「有利誤認」表示などは「不当表示」とみなされる。また、表示ラベルに限らず、POP・プライスカードや口頭説明等を含むすべてについて規制が及ぶ。特に「商品名」や「商品コピー」等で、実際の内容と矛盾した表現は「優良誤認」違反のおそれがあり、摘発例も多く、罰金や課徴金などの罰則もあるので、注意が必要である。 図