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HOME MEAL MEISTER 08惣菜・弁当の製造から売場まで


97-惣菜の製造(4)盛付、検査、保管

(1)盛り付け
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調理室や盛り付け室の室温は16℃前後の低温に保つことが基本である。調理済の食材や料理は速やかに清潔作業区域に移し、盛り付けを開始する。加熱調理されたものは、菌が繁殖するのに適した温度帯(約20~50℃)をできる限り早く通過させて10℃以下に冷却されていることを確認し、盛り付けに用いる。一時保管する場合には、他からの二次汚染を防止するため、覆いをして低温の清潔な場所で保管する。なお、盛り付け時は、手指を介した二次汚染を防止するために、衛生手袋を必ず着用する。

(2)検査

惣菜・弁当に限らず、ほとんどの食品は、盛り付け・包装工程終了後に品質確認のための様々な検査を受け、それらの検査に合格・適合して、初めて工場から出荷される。検査には商品自体の出来栄えのほか、物性、異物、微生物、原材料表示ラベルなど、様々な検査を行って、異常がないか、安全であるかを確認している。

①重量検査・金属検査

盛り付けされた商品は、重量に過不足(計量法により表示の重量からの誤差の許容範囲が決められている)がないか、ウェイトチェッカーや秤により重量検査を行う。また、盛り付けられた商品に金属異物が混入していると、怪我などの事故を引き起こすため、盛り付けられた製品全てを金属検出器に通して金属異物が混入していないか確認している。

金属異物をチェックする「金属検出器」と一体型になっているベルトコンベアー型のウェイトチェッカーでは、そのラインで盛り付けした全品を検査している。

②ラベル検査

食品表示は、消費者が商品を選ぶ際に重要な情報である。特にアレルギー物質の表示は、間違うと事故に直結することから、ラベルを貼る際には間違ったラベルを貼らないように、細心の注意が必要である。惣菜・弁当等の工場では、同じ製品を大量に連続で製造しているため、その製品にラベルを貼る前に、これから貼ろうとしているラベルとその製品の作業指示書を照らし合わせて正しいラベルか確認してから作業を行っている。また、作業の終了時にも作業指示書と照合してこれまで貼ってきたラベルが間違いないか確認している。

③検食・保存食

「検食」とは、完成した製品について、いつもと違った味や臭い、色の変化がないか、盛り付け方は指示書の通りかなど、商品自体の状態を「試食により」確認する検査である。特に消費期限が短い惣菜は、変質も早いものが多いため、検食は主に製造翌日に行われる場合が多い。検食は、検査員が実際に製品を食べて確認しているため、検査員には変化を見つける鋭敏な味覚や嗅覚が求められる。

なお、衛生検査用に保存される食品も「検食(検査用保存食)」という。厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」によれば、「原材料と調理済み食品を食品ごとに50gずつ清潔な容器に入れて-20℃以下の状態で2週間以上保管すること」、「原材料は購入した状態のまま特に洗浄・殺菌等を行わず保存すること」とされている。食中毒が発生した場合には原因となった食品と物質を特定する手がかりとなるため、この検査用保存食を保健所に提出しなければならない。

④微生物検査
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微生物検査では、主に製品中の微生物がどのくらいいるか、食中毒菌はいないかを検査して確認している。惣菜・弁当等の工場では、微生物の数を確認するために「一般生菌」の数を検査している。また、製品が大腸菌に汚染されていないかを確認するために「大腸菌」や「大腸菌群」の有無についても検査している。その他、製品の原材料などに合わせて、様々な食中毒菌(☞3章-36、37)の有無を検査し、製品が安全であるかを常に確認している。

⑥理化学検査
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理化学検査では、主に製品のpHや糖度(味の濃さ)などを、検査により「数値化」して確認している。例えば酢の物や春雨サラダなどは、ドレッシングを酸性にすることで微生物の増殖を抑えているが、酸性度が下がり中性に近くなると微生物は増殖しやすくなり、食品を変質させるため、製品のpHを確認することは、消費期限まで品質を維持する上で非常に重要な検査であるといえる。

同様に味の濃さも微生物の増殖に影響を与える。例えば佃煮など糖度や塩分濃度が高く味付けが濃いものは微生物が増殖しにくい状態にあるため、変質しにくい食品である。この味の濃さについても、科学的に数値化して異常がないか確認することが重要である。