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64-調理済み冷凍食品

調理済み冷凍食品の生産量(グラフ1)を見ると、その生産量は伸びており、近年では個食志向を反映しているのか、業務用より家庭用の需要が高まっている。また2010年から2015年までの生産量上位10位の品目(表1)では、コロッケとうどんが断トツの首位争いをしている。続いてハンバーグ、ピラフ、炒飯、おにぎりなどの米飯、パスタなどの麺類、ぎょうざなどが続く。

日本では、水産物を冷凍することから始まった冷凍食品であるが、今では国内で生産される、素材を含めた冷凍食品の約86%が調理済み冷凍食品である。菓子類を入れると、その割合は9割近くにものぼる。

グラフ1 調理済み冷凍食品の生産量

 

表1 調理済み冷凍食品の生産量上位10位の品目(平成22年~27年)


調理済み冷凍食品は、基本的には食品を調理して冷凍するものである。調理済み食品の冷凍には、冷気を食品に吹き付けるエアブラスト式冷凍機が一般に使用される。米飯類では、凍結により米粒同士が固まらないように「Individual Quick Freezing(IQF)」という凍結法が用いられる。これは、液体窒素を使い米粒を1粒ずつ凍結する方法で、そのために飯が固まらない。

冷凍食品の流通保存温度は、−18℃以下である。この温度では微生物の活動が停止するので、保存のための保存料が不要である。微生物の繁殖は抑えられるが、永遠に品質が保たれる訳ではない。脂質の酸化などを考慮すると、賞味期限は長くて「製造後1年以内」である。


まず、購入の際はショーケースの温度などを確認するとよい。また、購入後に持ち帰る際の温度や環境、また家庭の冷凍庫の開け閉めによる温度上昇など、できるだけ家庭でも-18℃を保つことが必要である。家庭での保管中には、温度管理だけでなく、極端に霜(食品中の水が凍ったもの)が付いたもの、開封した袋の中で乾燥したもの、色が変わったものや破損したもの、くっついたものは、品質が損なわれている可能性がある。調理済み冷凍食品は、デリケートなもので取り扱いに注意が必要である。冷凍食品を美味しく食べるためには、パッケージに示されたメーカーが推奨する調理方法や解凍方法を守ることも大事なことである。


調理済み冷凍食品は、原材料の入手しやすさ、加工工賃の安さ、流通期間中の品質変化の少なさから海外での生産が多い。2008年に中国産の冷凍餃子が農薬に汚染される事故(事件)があって以来、中国産製品への消費者の忌避感が強い。食品表示法による加工食品の原料原産地表示では、重量で50%以上使用されている原材料についてのみ表示の義務があるので、多くの調理済み冷凍食品では原材料の表示がなされない。

東京都では条例を定めて、都内で流通する冷凍食品では、原材料の重量に占める割合が上位3位までのもので、かつ原材料の重量に占める割合が5%以上のものは表示の義務があるとしている。またこれに関わらず、商品名にその名称が付いている原材料は、表示の義務があるとした。例えば「エビシューマイ」といえば、「エビ」の原産地表示が義務化されている。

一般社団法人冷凍食品協会では、「冷凍食品認定制度」に基づき認定された工場で製造された製品に「認定証マーク(図1)」をつけている。このマークも、購入の際に品質のよい冷凍食品を購入する目安となる。

図

図1 冷凍食品認定制度による認定証マーク


<参考HP>