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5-食の海外依存・食料自給率

食料自給率とは、国内で消費する食料を、どれくらい国内の生産で賄(まかな)えているかを示す数値である。食料には、野菜や肉、穀物、油など様々な種類があるため、熱量(カロリー)に換算した「カロリーに基づく食料自給率(カロリーベース食料自給率)」と「生産金額に基づく食料自給率」が用いられている。わが国のカロリーベース食料自給率は平成27 年度で39%である。主要先進国の食料自給率(平成23年度)はアメリカ127%、フランス129%、ドイツ92%、イギリス72%となっており、わが国の食料自給率は主要先進国の中で最低の水準となっている。

戦後の食生活の変化が主な要因となり、食料自給率は低下の一途をたどってきた。米中心の食事から「副食重視型」へ移行している。図1は、1人当たり1日の食料供給を品目別に表したものであるが、米の消費が減り、食料自給率の低い畜産品(肉、牛乳、卵)*1や油の消費が増えたことが、食料自給率の低下の主因であることがみてとれる。

図1 食料自給率(カロリーベースと生産金額ベース) 出典:農林水産省

*1 食料自給率の低い畜産品(肉、牛乳、卵)

牛乳や卵は、国産品が大部分であるように思われるが、国産品であっても、肥育する飼料の多くは、海外に依存している。


(1)食料安全保障

食料自給率が低いことが、なぜ問題なのか。1つには、食料安全保障*2の観点がある。食料の大半を海外に依存している状況では、予測できない事態が起こった場合、安定的な食料の確保が困難になる可能性が高いため、その対策として、政府は食料の備蓄や不測の事態に備えて潜在的な食料生産・自給力を高める取り組みを進めている。

(2)国内農業の衰退

食料安全保障のためにも、国内食料の増産は必要であるが、国内農業の現状を見てみると、耕地面積の減少や耕作放棄地の増加、また農業従事者の減少・高齢化が進行している。規模拡大、効率的な生産も進まず、その結果、農業の生産額も昭和59年をピークに減少傾向が続いている。海外へ生産拠点を求める動きもあり、価格の下落が影響している。

都市に住む者にとっては、農業は遠い存在となってしまったが、ただお金を出して農産物を買うのではなく、その向こうにある農業のことについて、学ぶ必要がある。

(3)環境

遠く海外から食料を輸入する際の輸送エネルギーを考えると、環境への負荷は甚大なものである。輸送エネルギーをできるだけ最小限にし、近くで生産されたものを食べようという「フードマイル」という運動がイギリスで提唱された。「フードマイレージ」は「相手国別の食料輸入量×輸送距離」で計算され、「食料の輸入が地球環境に与える負荷を数値化したもの」である。農林水産政策研究所で試算された2001年の日本の輸入食品のフードマイレージは9,000億トン・kmという想像もつかないような数字であるが、他の国と比較すると図2の通りとなる。このような反省から「地産地消*3」の動きが始まっている。

食料自給率を高め、国内農業の増産を進めることで、農地やその周りの環境を保全する役割を果たすことにもなる。かつては水田や畑を中心に、水があり多様な生物資源があり、そして景観を形成し、また様々な文化を醸成していた歴史がある。このような環境を持続させるためにも、国内農業を活性化する意義がある。

図

図2 各国のフードマイレージ 出典:農林水産省

*2 食料安全保障

予想できない要因によって食料の供給が影響を受けるような場合のために、食料供給を確保するための対策を検討し、日頃から準備をしている。このことを食料安全保障という。

*3 地産地消

地域で生産されたものをその地域で消費すること」を基本とした活動のこと。


<参考HP>